「雪と珊瑚と」/梨木 香歩 著
梨木さんの小説は、ほっこり。
宝箱みたいだっていつも思うのです。
21歳のシングルマザー「珊瑚」と赤ん坊の「雪」。
珊瑚の母親もシングルマザーで、しかもネグレストだった。
けれど珊瑚は母を恨むでもなく状況を受け入れて育つ。
ただ、いつもお腹が空いていた。
家を出て、若い母親になった珊瑚は誠実で賢明で・・・。
珊瑚と雪のまわりには良い人ばかりが集まる。
こんなうまい話、普通ないよなあ・・・って話は展開されていく。
でも良いのです。
時にはこんな話も読んでみたい。
深い深い森のなか、木漏れ日を浴びて独り佇む。
静寂。
・・・風が静かに体を撫でる。
ひとりぼっちのようで・・・けれど手のひらに人の温もりを感じる・・・。
梨木さんの本を読むといつも思う。
肩の力を抜いてもう少し自分に正直になってみようかな・・・って。
自分次第で周りの景色は変わるのではないかと。
「雪と珊瑚と」を読んだあとは・・・。
とても丁寧に淹れてもらった美味しいお茶をご馳走になったような・・・
そんな感じです。
(お茶って、自分で淹れるより人に淹れてもらった方が美味しいのだよね!)
(なぜだかね・・・。)