2013年04月23日

「金の ゆりかご」

「金の ゆりかご」/北川 歩実 著
 
 
幼児英才塾。幼児教育センター。
 
3歳までの幼児の脳に様々な刺激を与えるカプセル・・・金のゆりかご。
 
天才少年になった子供。
 
精神に異常をきたす子供。
 
そして成長した子供たちの今。
 
 
 
この物語はどこへ向かっていくのか?
 
ラストになるまで解からなかった。
 
そうでしたかあ・・・。まさか・・・そうでしたかあ。
 
 
鍵は『双子』
 
 
しかし謎を紐解くと、ムムムッ!双子だったのか?

は、もはや出尽くしている。
 
そんな答えは通用しない。
 
余程でないと、なんだよ双子かよお〜って事になってしまうし・・・。
 
それを逆手に取られた感じだ。
 
 
 
それにしても・・・。
 
双子って面白いね。(双子の皆さんごめんなさい。)
 
生まれた時からもう一人の自分がいる。
 
生まれた時からミステリーではないか?(ごめんなさい。)
 
世界中の人間がみ〜んな双子だったらどうなるのかな?
 
人は孤独ではなくなるかな?  それともウザイかな?
 
もちろん双子だって個々の人間ではあるけれど。
 
 
と、いったようにいつも物語からそれたことを考えてしまう・・・。
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2013年04月14日

「火口のふたり」

 
「火口のふたり」/白石 一文著
 
 
 
「一瞬の光」以降、白石さんの作品はかかさず読んできた。
 
 
生きるのが下手な人たち。
 
あの時ああしていれば、今も安泰だった筈なのに・・・。
 
あと少しで、どうでもよくなってしまったり・・・。
 
人のうしろにいるのが好きだったり楽だったり・・・。
 
一生懸命にウンザリしたり・・・。
 
決してうまく運んでいない人生でもあったり・・・。
 
 
 
 
『生きてるだけで楽しいって思える人と、成功しなきゃ楽しくない
人がいたら、生きてるだけで楽しいって思える人の方が何倍も得だ。』
 
文中、情熱大陸で冒険家の人が言っていた言葉として書かれてあった。
 
 
私は?
 
イライラしたり、ムカついたり、落ち込んだりの日々もある。
 
けど・・・それも含めて楽しく生きてると思う。・・・今のところはね。
 
そう思えることに感謝、だね。
 
有難いことです。
 
 
 
白石さんの作品に出てくる男は、<仕事に疲れたり追い込まれたりして

精神を病み田舎の福岡に帰って来た>という設定が多い。
 
読者は勝手なので、私はこの男にどううしても白石さんを重ねてしまう。
 
その方が物語がリアルになるから。
 
もちろん私は作者の顔も知らないし、どんな方なのかは存じませぬ。
 
よいのだ、それで。
 
読者の想像力の権利は自由なのだ。
 
私は白石さんのファンなんです。
 
(因みに白石さんは私と同い年。 ね?それだけで親近感湧くでしょ?)
posted by しのぶん at 14:05| Comment(0) | 読書感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月11日

「影をなくした男」


「影をなくした男」/シャミッソー著
 
 
 
謎の男に乞われるままシュレミールは、いくらでも金貨の出る金袋と
 
自分の影を交換してしまう。
 
影を失ったシュレミールは大金持ちの気前の良い伯爵様になったが
 
この秘密を抱え日中は太陽を逃れ部屋に閉じ篭もる。
 
影がない男なぞ人として認められないのだ。
 
 
「影」って大切?  あまり思ったことはない。あって当たり前だから。
 
では金袋と交換する?  何でも買えるし手に入る・・・。
 
でも・・・当たり前のものが無くなるのは恐いし、心もとない。
 
 
秘密がばれたシュレミールは町から追われ、逃げて、絶望し、金袋も放り投げ
 
放浪し、なけなしのお金で古靴を買う。
 
 
ここからが素敵なおはなし。
 
なんと、その靴は一歩あるけば七里を行くという魔法の靴だったのです!
 
(パチパチパチ〜と拍手〜!)
 
一歩あるけば景色が変わる、この靴で世界中を旅するのです。
 
 
 
この物語は元々シャミッソーが友人の子供に語った御伽噺らしい。
 
彼は貴族の生まれだったが9歳の時のフランス革命で祖国を逃れる。
 
祖国をなくした男。
 
「影とは何ですか?」シャミッソーはこう答える。
 
  ぼくは生まれついての影をもっている。
 
  自分の影をなくしたりはしなかった。
 
 
 
物語の中、印象深いコトバがあった。
 
『 私たちは整然とまわる巨大な<摂理>の輪の中ほんの小さな歯車に
 
すぎない。』
 
そうか・・・摂理か・・・。
 
それなら、かなわない。受け止めるしかないではないか・・・。
 
歯車もひとつ欠ければ何も動かない。
 
古くなって錆付いて新品に交換されるまでは、生きて動いて、動いて。
 
それは摂理。それが。
 
そしてそれで、辻褄が合っている。
 
そんな気がした。

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2013年04月04日

「デパートへ行こう!」


「デパートへ行こう!」/真保 裕一 著
 
 
傾きかけた老舗デパートの閉館後に、さまざまな事情を抱えた者たちが
 
忍び込む。真夜中のデパートのあちこちで事件はおこり・・・。
 
 
 
幼い頃、母親に連れられて行ったデパートの思い出を胸に、職を失い
 
妻子から見放された男がここで死のうと思うのだが、人の良い男は
 
暗闇の中で出会うあきらかに怪しい人々の苦境を助けてしまう。
 
人生に疲れ果てた男が、それでも人に対する眼差しは優しい。
 
まっとうな人間なのだ。まっとうな人間に世間は厳しい。
 
けれど・・・希望の光がこの男にも射しますよ。
 
でないとね。物語なんだから。
 
現実はこうはいかないかもしれないけど・・・。
 
 
 
私も父に連れられて行ったデパートが大好きでした。
 
池袋の西武、東武百貨店。途中パルコも出来ました。
 
 
だだをこねて泣いた事もある。
 
わがままな私はあれもこれも買って欲しい。
 
そこで父は「全部買いなさい」と言う。
 
全部買える訳がない。だって私は本当は貧乏性なのだ。
 
そんなに買ったら、なんだか怖いし・・・もったいない。
 
 
大人になってから父との待ち合わせもデパートでした。
 
屋上で父の好きな盆栽めぐり。楽しかったなあ!
 
 
昔のデパートは今のテーマパークみたいなもの。
 
そういえば最近デパートで子供を見かけない・・・。
 
うるさくなくて良いけど・・・たまには駄々をこねて泣き叫ぶ子供が見たい。
 
昔の私のような。
 
 
時代は変わる・・・。
 
頑張れデパート。

posted by しのぶん at 10:36| Comment(0) | 読書感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月01日

「生きる ぼくら」

 
「生きる ぼくら」/原田マハ 著
 
 
 
引きこもりの青年が蓼科の祖母の家で米作りをするお話です。
 
凄く簡単に言ってしまうと。
 
 
一粒の籾殻から四千粒のお米ができるって初めて知りました。
 
 
それで・・・御飯茶碗一膳にお米は何粒くらい入ってるのだろう?
 
そして、私は一日何粒くらいのお米を食べてるんだろう?
 
今まで考えた事もなかった。
 
どうでもいいことかもしれないけど。
 
 
 
お話の中の米作りは普通よりも自然なかたちをとっていて、
 
その分、骨が折れるというか、かなり大変な作業なわけで・・・。
 
けれど、収穫されたお米の美味しそうな事といったら!
 
 
美味しいお米で炊いたご飯って美味しいですよね。
 
塩むすび、たまりません。
 
お米の神様、ありがとう。
 
 
原田マハさんの作品は「楽園のカンヴァス」が面白かっただけに、
 
今回は、あら?だいぶ傾向が違うのねって感じでしたが・・・。
 
もしかすると、こちらの方が本来の作風なのかなあ?
 
ううん・・・他の作品も読んでみようかな〜。


posted by しのぶん at 12:49| Comment(0) | 読書感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする