2013年05月27日

 「女 神 記」


 「女 神 記」/桐野 夏生 著
 
 
 
イザナキとイザナミの最初の子供は蛭子。
 
蛭のように骨の無い、ぐにゃぐにゃした子供だった。
 
2人はその子を葦の舟に乗せて流した。
 
 
ん?そんな話の芝居をしたことある。
 
それは蛭子の話を絡ませていた。
 
 
 
それからイザナミは島々を産み、海の神、水の神、風の神等を産み、
 
火の神を産んだ時、大火傷をして死んでしまい黄泉の国に行った。
  
 
ん?イザナミ・・・黄泉の国・・・そんな芝居もしたことある。
 
 
でも・・・ま、そんな事は忘れた・・・。
 
 
 
日本人が信じる神は身近だ。
 
お米の神様だったり、もったいないの神様だったり、
 
芝居の神様、どうか私にお力を・・・だったり。
 
救世主だとか、スーパースターだとかではないのだね。
  
 
そういえば・・・私が中学生だった頃、お正月に両親と初詣に行った

時の事。
 
私は生理中だったため神社の鳥居を潜ってはいけないと母に言われた。
 
なんでよ〜と言う私に母の答えは<穢れているから>というものだった。
 
私はかなり憤慨しながらも鳥居の外側を歩いた。
 
生理中の女が穢れているならば、そんな女から生まれた人間は

どうなるのだ?
 
 
 
イザナキにとって、死んだイザナミは穢れた存在になる。
 
どうも神々からして女性蔑視、男尊女卑なのかと思うと
 
逆にそれでも生きてきた女のなんと逞しいことよ!
 
 
と、まあ、いろんなことを考えました・・・。
 
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2013年05月22日

「誘 拐 児」


「 誘 拐 児 」/翔 田 寛 箸
 
 
 
 
第54回 江戸川乱歩賞受賞作です。
 
 
図書館で手に取り、コレ・・・読んでるよなあ・・て、思いながらもどんな話
 
だったかな? まあ、いつものことなので、もう一度読めば良いのだ。
 
そして、やはり読んではいたのだが。
 
2度目でも新鮮に読める自分が悲しい・・・。
 
私の記憶力の貧相なことよ・・・。
 
 
 
昭和21年8月、誘拐事件発生。身代金は奪われ、当時5歳子供は

発見されなかった。
 
そして、昭和36年6月、主人公・谷口良雄の母親が病死。
 
不可解なコトバを残して・・・。
 
それから3日後、1人の女性が殺された。
 
 
25年の歳月を経て、2つの事件が結びつき解き明かされていく。
 
 
 
昭和21年といえば、まだまだ戦後を引きずり生きていくのがやっとの人々が
 
溢れかえっている中、ドサクサにまぎれ成り上がっていった者たちも

少なくはない。
 
 
良雄の5歳前後の記憶は曖昧で、自分が果たして誘拐された

子供なのか否か?
 
母親の死後、不信感を抱く良雄ではあるが母の愛は偉大であった。 
 
 
 
乱歩賞受賞作本なので、うしろに選評も載っている。
 
なるほど・・・。
 
そうなのよね〜。   
 
うん、私もそう思う。
 
・・・と偉そうに読んでみた。
 
 
 
2013年。
 
戦後68年。
 
今も戦中戦後を生き抜いてきてる人々は健在だ。
 
時代は変わる。
 
良くも悪くも、変わり過ぎだ・・・。


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2013年05月16日

「色彩を持たない田崎つくると、彼の巡礼の年」 

 
「色彩を持たない田崎つくると、彼の巡礼の年」/村上 春樹 著   
 
                             
 
 
 
<大学二年生の七月から、翌年の一月にかけて、田崎つくるは
 
ほとんど死ぬことだけを考えて生きてきた。>
 
物語はここから始まる。
 
そして十六年後、三十六歳になった現在のつくるの過去への旅。
 
 
田崎つくるくんは限りなく 『よいこ』 だ。・・・と思う。
 
色彩を持たない・・・「僕には個性みたいなものはなかった」
 
と言うつくるくん。
 
けれど 「やさしくてクールで、ハンサムだった」 というクロ。
 
 
無欲な人間は品がある。・・・と思う。
 
魅力とは別のものだ。
 
まったく無欲の人間はいないと思うけど、つくるくんは最低限の
 
欲求の中で生きていた。
 
いや?そういうのとも違うのかな・・・。
 
おとなしいのだ、彼は。
 
そして、静かに強い。
 
結局、つくるくんは強い心を持った人なのだ。
 
 
 
泥臭さのないスマートで頭の良い人々の、感性の高い話って、
 
みんな読んで酔って、気持ち良くなっちゃうのかな。
 
ビンテージのワインを買うより安上がりだね。
 
でもビンテージ・ワインだからって万人が全て美味しいと感じる訳じゃない。
 
美味しそうな振りするのはどうなんだろう。
 
 
 
 
ラザール・ベルマンの演奏するリストの『巡礼の年』が物語りのBGM。
 
どんな音楽なのだろう?
 
この本も売れてるけど、この曲のCDも売れそう。
 
・・・と物語に相応しくない俗な考えが浮かぶ。
 
 
 
 
この星には数十億の思考する個体が乗っかっているのだね。
 
重い・・・。 
 
そして・・・自分の色は他者が勝手に塗りたくる。
 
 
 
灰田よ、いずこ。
 
 
 
 
 
 
灰田はいずこ。


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2013年05月07日

「三千枚の金貨」


 「三千枚の金貨」/宮本 輝 著
 
 
 
斉木光生は5年前、入院中に末期癌の患者に話しかけられた。
 
  『 和歌山県の何処か。桜の樹の下に三千枚の金貨を埋めた。
 
    みつけたら、あんたにあげるよ。』 ・・・と。
 
 
そのときは真に受けなかったのだが・・・。
 
 
 
大人たちの宝探しを主軸に物語は進む。
 
斉木を中心に広がる様々な人間関係や家族関係。
 
ささいな出来事も好ましく、微笑ましく、宮本輝ワールドは暖かい。
 
 
が、それとは別に気になってしまったのが、
 
シルクロードの一角にある巨大な溝 『 乾河道 』の話。
 
遥か昔の大河が干上がったものらしい。
 
そして、カラコルム山系の中にある小さな村、フンザの星空の話。
 
 
 
なんて世界は広く、自然は偉大で、
 
人間はちっぽけで、健気で、愛しいのだろう。
 
 
夜空満点の星、星、星を見たい・・・。
 
目に見えるものは星だけ。
 
・・・と、思いを馳せてしまった。
 
 
久々に読んだ宮本輝作品、面白かったです。
posted by しのぶん at 13:14| Comment(0) | 読書感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月02日

 「アミダサマ」

 

「アミダサマ」/沼田まほかる著
 
 
ホラーです。
 
ホラーって異常な『負の力』を持った超人間が登場するけど、
 
悪人というのとは、ちと違ったり・・・。
 
ただただ、どうしようもない力が人々を惑わしたり、傷つけたり、
 
殺したり・・・。
 
すると、けっこう哀しかったりもするわけで。
 
 
 
登場人物の寺の住職・浄鑑の信仰は<顕教>
 
浄鑑の<顕教>に基ずいているであろう考えが好ましく
 
この世を、この現実を(ホラーなので非現実なんだけど・・・)
 
浄鑑が受け入れる姿勢がすんなりと入ってきます。
 
 
 
しかし、恥ずかしながら顕教って?
 
そこで顕教と密教の違いを検索してみました。
 
へ〜〜〜。
 
大雑把な外枠は解かっても奥が深いので・・・。
 
とりあえず棚に上げておきましょう。


 
posted by しのぶん at 14:46| Comment(0) | 読書感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする