2013年06月27日

 「とっておき名短篇」 

 
「とっておき名短篇」 北村 薫/宮部みゆき 編
 
                        
 
 
コレもお二人の作家が選んだ名短篇集。
 
 
穂村弘・蜂飼耳・川上弘美・塚本邦雄・飯田茂実・戸板康二・深沢七郎
 
松本清張・大岡昇平・岡田睦・北杜夫
 
 
 
深沢七郎 「絢爛の椅子」   つ、ら、い。
 
岡田睦 「悪魔」  こ、こ、恐い
 
北杜夫 「異形」  こ、こ、こ、怖い
 
 
 
そして、そして飯田茂実さん。
 
この方は1976年生まれのマルチ・アーティストだそうな・・・。
 
(ダンス、音楽、シアター、美術、文学などなど。)
 
『一文物語集』より は一行から三行くらいの短い文章が物語りになっている。
 
たった数行の中に流れる時間や感情がドラマチックです。
 
なんというか・・・アングラ劇場の匂いがします。
 
一筋の光の中に浮かぶ無数のホコリの粒のような・・・。
 
沢山の光の粒がキラキラと光ってます。
 
芝居の一場面を観ているような感じです。
 
一瞬のような・・・永遠のような・・・。
 
不思議な空間を感じます。
 
 
そして・・・やっぱり、怖いのです。
 
 
 
余談ではありますが・・・。
 
北村・宮部お二人の対談も掲載されてますが、「一文物語集」の話しのところで
 
二階堂奥歯さんという方にふれていて、なんとなく気になってネット検索を。
 
奥歯さんは編集者で若くして自ら命を絶っています。
 
私は少なからず彼女の行動に衝撃を受けました。
 
でも、ここでは自分の意見は旨く言えません。
 
簡単に言えることでもないし・・・。
posted by しのぶん at 10:18| Comment(0) | 読書感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月18日

「名短編ほりだしもの」 



「名短編ほりだしもの」 北村 薫/宮部 みゆき編

 
 
お二人の作家のオススメ短編集です。
 
 
読書はどうしても好きな作家にかたよってしまう。
 
今回の本は
 
宮沢章夫・片岡義男・中村正常・石川桂郎・芥川龍之介
 
志賀直哉・内田百閨E里見惇(漢字が変換できない〜。惇は本当は弓偏です)
 
久野豊彦・尾崎四郎・伊藤人譽(またまた漢字が〜。譽がちょっと違う)
 
織田作之助
 
 
盛り沢山。初めて読む作家もたくさんいます。
 
そして、お腹いっぱいになります。様々な作品、面白かったです。
 
 
中村正常さんは中村メイコさんの父らしい。
 
正常という名前とはうらはらに、なんともヘンテコなお話が3本。
 
狐にツママレタ?ような・・思わず力が抜けてしまうようなお話。
 
 
石川桂郎さんは作家の傍ら、家業の理髪業を継いでいた方らしい。
 
床屋の話である「剃刀日記」より5編。時代は明治、大正か・・・。
 
床屋の日常を描いてるのにも拘わらず、ミステリアス。
 
内田百閧ウんの 「亀鳴くや」 は友人・芥川龍之介のことを描いたものだが
 
最後の4行が鮮やかだ。
 
<芥川はあまりの夏の暑さに死んでしまった。>
 
というようなことを言っていて、
 
<又それでいいのだと思った。> ・・・と。
 
残された者は迷わず、どこかで納得しなければ先へ進めない。
 
よいではないか。その夏があまりに暑かったのなら仕方ないではないか。
 
 
 
今回の発見!
 
織田作之助は面白い!
 
「 探し人 」
 
「 人情噺 」
 
「 転位無縫 」
 
どれもいい話だったなあ。


posted by しのぶん at 17:43| Comment(0) | 読書感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月06日

「さよならバースディ」



「さよならバースディ」/荻原 浩 著
 
 
 
『 バースディ 』 は ピグミー チンパンジー(ボノボ)の名前。
 
さよならバースディ っていうくらいだから・・・きっと最後は
 
悲しい別れがあるんだ・・・そう思うと読むのが辛い・・・かも。
 
そして、やっぱり・・・。
 
 
霊長類研究センターでは、バースディに言語習得実験を行っている。
 
人の言葉に答えるバースディは愛くるしい。
 
 
私は特別サルが好きなわけではないのだが、なぜか感情移入してしまう。
 
動物に対して人間はいくら愛情をそそいでも、それは傲慢な行為なのかも
 
しれない。
 
ペットを飼う行為もしかり。(私のことでもある)
 
だから最後まで責任を持って生活を共にする。
 
精神的支えになってもらっているのは、むしろこちらの方だし、
 
ウチのこ(猫)が一番可愛いと毎日毎日思っている時が幸せだし。
 
 
しかし、一方通行の愛情で成立するこの気持ちこそ勝手なものではないか?
 
 
本当に本当に、人間は自分勝手なのだ。
 
 
動物との共存は永遠のテーマだが、どちらにせよ人間は人間の事を
 
一番に考えた上の結論しか出せないのだろう。
 
 
 
バースディも結局は人間に振り回された犠牲者で、
 
バースディが無垢な存在ゆえに、心に重く人間の罪の深さを感じた。
 
 
 
そして私はウチのこを抱きしめる。
 
ああ、本当に、かわいい。
posted by しのぶん at 14:42| Comment(0) | 読書感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする