2013年09月26日

「百萬遍 古都恋情」


 
「 百萬遍 古都恋情 」 上・下/花村 萬月著
 
 
 
それにしても・・・。
 
十代の男の子は誰もがこんなにも性欲が強いのだろうか?
 
それとも・・・惟朔が特別なのか?
 
惟朔の恋愛は特別なものだと思う。
 
自由過ぎる。
 
そして、惟朔の肉欲には呆れる。
 
それは私が女だからか?男なら共感するものなのか?
 
解からぬ。 誰かに聞いてみよう。
 
 
 
 
ニコ中の言葉。
 
「 感性というコトバをもちだしてはいけないよ。」
 
「 それは馬鹿者の最後の言い訳なんだ。」
 
なんか、ズシっときた。
 
感性、感性とむやみやたらに言えば、それは確かに恥ずかしい。
 
私もそんな輩のひとりでした。
 
 
 
惟朔は野坂昭如が好きだ。「火垂るの墓」を読んで泣いたことは『青の時代」に
 
描かれているが、今回もその事を語っている。
 
私も泣いたよ。みんな泣くよ。
 
胸が締め付けられたよ・・・。
 
惟朔と共感できたことがあって、良かったと思う・・・。
 
 
 
 
遠藤賢司の『カレーライス』
 
うんうん、流行った。よく口ずさんだ。
 
 
  僕は寝転んでテレビを見てる
 
  誰かがお腹を切っちゃったって
 
  う〜んとっても痛いだろうにねえ
 
  はは〜ん・・・・カレーライス
 
 
え〜〜〜〜〜お腹を切っちゃったって、三島のことだったの???
 
あれほど衝撃的な三島由紀夫の割腹自殺だったのに、当時、私はこの唄を
 
聞いて可笑しな唄くらいにしか思わなくて・・・。
 
私は馬鹿者だ。 自分にとっての衝撃とはこんなものか! とも思ったのだ。
 
何十年もたって 『カレーライス』 の意味が解かりました。  とほほ。
 
 
 
そしてそして・・・惟朔18歳。 百萬遍はもう少し続きます。
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2013年09月19日

「百万遍 青の時代 上・下」

 
「百万遍 青の時代 上・下」/花村 萬月著
 
 
 
ともだちが 『 花村萬月、いいよ! 』 っていうから読んでみた。
 
とりあえず、「百萬遍」を選んでみた。
 
これは自叙伝的小説らしい。
 
面白かった。
 
しかし、私のような輩がこの本の面白さを語るのはいかがなものかと思った。
 
でも、面白かった。
 
 
 
時代は1970年から1972年。
 
「 今日、三島が死んだ 」 で始まる。
 
 
主人公・惟朔( いさく )は15歳。
 
当時の私は、田舎の少しませた12歳。
 
惟朔のような人間はまわりにはいない。
 
いなくて、良かった。 と思う。
 
いや、仮にいたとしても・・・接点はなかったろう。
 
 
私は現実の暴力は大嫌いだ。
 
なのに、物語だと受け入れてしまうのは勿論、虚構の世界だから。
 
でもなあ、この話・・・自叙伝的 という触れ込みのせいか、どうしても
 
本当の話も含まれているんでしょう? なんか凄くない? と、凡人の
 
私は思うわけで・・・しかし、私にとってはひとつの物語で良いのだ。
 
いやむしろ、その方が良いのです。
 
 
 
接点はない といっても同じ時代を生きていた私にとって懐かしいワード等が
 
沢山出てきた。
 
「 ニューミュージックマガジン 」  兄が購読してた。
 
「 新譜ジャーナル 」  私、購読してた。
 
赤尾敏、いた。
 
グランド・ファンク・レイルロード 後楽園に兄が行った。興奮して帰ってきた。
 
忘れていた当時の事がよみがえる。
 
1972年は1月、横井庄一さんが28年振りに故国の土を踏んだ。
 
2月、浅間山山荘に連合赤軍が立てこもって銃撃戦。
 
4月、川端康成が自殺した。なぜ、死んでしまったのだろう・・・。
 
5月、沖縄返還。
 
コイン・ロッカー・ベイビーの事件、「時計じかけのオレンジ」「ゴッド・ファーザー」封切。
 
田中角栄が自民党総裁になったニュースは中学校の放送室で聞いた記憶がある。
 
 
濃いぞ1972年。
 
惟朔、17歳。
 
 
 
 
それにしても・・・惟朔はめちゃくちゃだ。
 
そして強い。
 
そして優しい。
 
そして不実だ。
 
トルエンは止めてくれて良かった。
 
ほんの2年、いろんなことが有り過ぎの2年。
 
様々な人間が惟朔と出会い通り過ぎていった。
 
いや、通り過ぎていったのは惟朔である。
 
 
 
そして惟朔は京都へ!
 
つづく・・・。
posted by しのぶん at 17:40| Comment(0) | 読書感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年09月02日

「烈風のレクイエム」


 「烈風のレクイエム」/熊谷 達也著
 
 
 
舞台は函館。昭和9年。主人公は潜水夫の敬介。
 
ン?潜水夫・・・。
 
そう、あの「 あまちゃん 」に出てきた宇宙服のような格好をして
 
海中での作業をするやつね。
 
と、割と想像しやすいではないか。
 
 
 
函館は当時、大火の町として有名だったらしい。
 
これは立地条件によるものだ。
 
その日は酷い強風だった。ひとたび火事が起こるとひとたまりもなく
 
燃え広がる。
 
敬介はこの大火で母、妻を亡くし幼い娘は行方不明に。
 
 
敬介はこの大火を乗り越え、戦時中の函館空襲で足が不自由になっても
 
乗り越え、そして戦後のあの洞爺丸の座礁事故に乗り合わせたが、それをも
 
乗り越え・・・と、まあこれでもかと乗り越えて行くのだ。
 
 
いずれも多くの人々が命を落としていった現実があった。
 
そんな中、出会いもあった。
 
それが救いだ。
 
出会い、別れ、生きて、また出会い、別れ・・・生きて居ればこそ・・・。
 
 
 
本当に日本人は沖縄然り、函館然り、広島、長崎、東京も大阪も、東北も・・・
 
戦前、戦中、戦後の混乱から立ち直るまでの時代をどれほど懸命に

駆け抜けて来たことか・・・。そして、今も・・・。
 
 
 
死が真近にあった時代、より生への実感も勝っていたことだろう。
 
 
 
楽しい時より、辛い時の方が生きてる事を、生きてしまって居ることを
 
感じるのは何故だろう。
 
辛いとか、悲しいとか、虚しいとか、生きてるんだなあ・・・

って感じるんですよ、私。
 
ちっとも楽しくも嬉しくもないんだけどね。
 
 
 
大石静さんがその昔書いたドラマのなかで、
 
「 私、辛いとき、生きてるなあって感じるの 」  みたいな台詞があって、
 
これは名言だ! と今も心に残っています。

posted by しのぶん at 11:47| Comment(0) | 読書感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

舞台のお知らせ「泡」


舞台のお知らせ

昨年演じた舞台「泡」の再演を、舞台設定の福島で初日を迎えます。

是非、観にいらしてください。

【福島公演】
9月6日(金) 19時 郡山市民文化センター

9月8日(日) 11時/15時 いわき市小名浜市民会館

9月10日(火) 19時 福島テルサ
9月11日(水) 19時 福島テルサ

9月13日(金) 19時 会津若松市文化センター

【東京公演】恵比須・エコー劇場

9月18日(水) 14時/19時30分
9月19日(木) 19時30分
9月20日(金) 19時30分
9月21日(土) 14時/18時
9月22日(日) 14時
9月23日(月) 14時

詳細はこちらをご覧ください

東京フェスティバル
http://senkyo-tokuban.cocolog-nifty.com/

posted by しのぶん at 11:36| Comment(0) | 舞台のおしらせ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする