2013年10月28日

5冊 一気にご紹介!



5冊まとめての感想にするのはかなりの手抜き?
 
でも・・・また次へと読書を進めたいので・・・。
 
 
 
「 路・ルウ 」/吉田 修一著
 
 
台湾新幹線着工をめぐるお話。日本の新幹線技術を投入するが、
 
大枠は日欧混合としたシステムのため、工期の遅れや様々なトラブル
 
を招く。
 
日本人と台湾の人々との交流、絆、そして台湾という国の歴史。
 
台湾に楽園をみた。
 
やはり吉田修一は面白い!
 
 

「 約束の地 」/志水 辰夫著
 
これは戦後から始まる長い長いお話。
 
昭和30年、渋木裕介10歳。たった一人の肉親の祖父を目の前で殺害された。
 
その祖父はソ連から亡命してきたトルコ人だった。
 
 
アルメニア人とトルコ人の憎悪と復讐の連鎖。
 
旧ユーゴスラビア内戦、スロベニア、クロアチアの独立宣言。
 
民族浄化による破壊、強姦、虐殺。
 
その後のボスニア・ヘルツエビゴナのセルビア人民族浄化とクロアチア人、
 
ムスリム人の報復・・・・・。
 
 
裕介は長い旅の果てに決着をつける。
 
いやあ、本当に長かった。時代は戦後めまぐるしく変わるし。
 
にもかかわらず人の執念は、民族の血は根深い・・・。
 
ひとごとのように読んでる自分に平々凡々と生きてる日本人の自分をみた。
 
 
 
「 なで肩の狐 」/花村 萬月著
 
うん。面白いので続編も読まねば。
 
 

「 ロスジェネの逆襲 」/池井戸 潤著
 
半沢直樹の続編。そりゃ、面白いわな。
 


「 笑うハーレキン 」/道尾 秀介著
 
ハーレキンって道化者って意味なのね。



posted by しのぶん at 16:36| Comment(0) | 読書感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「 ふくわらい 」


「 ふくわらい 」/西 加奈子著
 
 
 
幼少期から数奇な時間を送ってきた「鳴木戸 定」。
 
定の父が「マルキ・ド・サド」から取った名前。
 
父は世界中の僻地を旅する紀行作家。
 
アマゾン、ニューギニア、ガラパゴス、南極。
 
母亡きあと、定も一緒に旅をした。
 
 
25歳になった定は今、出版社の編集部で働いている。
 
定は幼少期のある事がきっかけでまわりから遠巻きに見られる存在だ。
 
嫌われてもいないし親しげにする者もいない。
 
なるほど定の経験は、世間では認められていない奇異なものであった。
 
 
 
良い小説でした。好きな物語でした。
 
定は特別ではあるけれど・・・その生き方は真っ直ぐでシンプルで心地よい。
 
静かで、強いのだ。
 
 
 
ニジェール川の川辺、定はカバに追いかけられる。
 
子供の定は驚くほどのスピードで逃げる。
 
私も追いかけられると逃げ足は速い。
 
かけっこは苦手だし遅い。
 
そして追いかけるのも気力不足。
 
ヨーイドンで一斉に走るのも嫌いだ。
 
おそらく、人は怖いものから逃げるとき一番早く走れるのではないだろうか?
 
 
 
「猪木さんになりたい」 というプロレスラー・守口廃尊も魅力的だった。
 
ほんとうに猪木さんになりたかった廃尊。
 
思いがジーンと伝わってきて・・・。
 
私は何になりたかったのだろう・・・。
 
そんなことに思いを馳せたりもしました。
posted by しのぶん at 15:19| Comment(0) | 読書感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月18日

「横道 世之介」

 
「横道 世之介」/吉田 修一著
 
 
 
またやってしまった。すっかり忘れてた。
 
あれ、読んだ事あるなあ・・・と確信したのは『祥子ちゃん』登場から。
 
もっと早く気づけ!
 
そして、かつてと同じところでプッと吹く自分。こういうところは覚えている。
 
 
物語は世之介東京に上京、花の大学1年生の時間がメイン。
 
それは昔の話。 男子はポパイやブルータスを読んでた時代。
 
スターバックスはない。
 
そして所々に当時、世之介が出会った人々の<今>が出てくる。
 
さてさて世之介40歳の<今>は?
 
 
しかし、いい小説だなあ。
 
世之介たちの学生生活は実に瑞々しく描かれている。
 
ごく普通の若者たち。
 
泣いた。嘆いた。悩んだ、そして笑った。笑った。笑った。楽しかった。
 
私にも、そんな時代があった。
 
懐かしい限りである。
 
そうして、みんな社会の荒波のなかに飛び込んで行く。
 
様々な人と出会い、様々な人生を送る。
 
 
 
昨年、元居た劇団の後輩が逝った。
 
今年、多摩美時代の先輩が逝った。
 
同年代の死は突然で、どう受け止めたらよいのか途方に暮れた。
 
悲しいとか辛いとかだけではなく・・・ <なんで?>
 
そして思い出すのは、かつて同じ空気を吸い同じ景色を見て一緒に笑った
 
あの懐かしい、幸せと言っていいだろう日々。
 
若さというものは、実に、なんて愛しかったのだろう。
 
そして、ひと足早く逝ってしまった友の人生も
 
しみじみと、愛しいものである・・・。
 
 
 
 
うん。
 
駆け抜けた横道世之介はいい男だった。


posted by しのぶん at 11:56| Comment(0) | 読書感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年10月04日

「ゲルマニウムの夜」


「ゲルマニウムの夜」/花村 萬月著
 
 
読みますよ、そりゃあね。「百萬遍」を読んだらこちらもね。
 
読みたくなるじゃないですか。
 
「百萬遍」の惟朔(いさく)と 「ゲルマニウムの夜」の朧(ろう)
 
 
 
舞台は共に修道院兼救護院。
 
2人に共通するのは性と暴力。
 
修道院を旅立った惟朔と帰ってきた朧。
 
タイプは違うが似てる2人。
 
別々の物語なので2人が交わる事はない。
 
だから比べる必要もないのだが・・・。
 
 
 
朧は頭が良い。頭が良いと人生は複雑になる。
 
朧は頭が良いのだが人生に賢くはない。
 
(人生に賢い人の定義は様々だけど)
 
朧は負の中に身を横たえている。
 
朧は檻の中で思考する。思考する。思考する・・・。
 
朧の思考に追いつくのは困難だった。
 
朧は人並みの幸せとか愛とか・・・思考しない。
 
朧の思考は分厚い。
 
 
 
人生は単純だ。
 
だが人は本来、複雑である。
 
複雑なところは内に秘めねば生きられない。
 
表に出して歩けば面倒くさい人のレッテルか、変人扱いだ。
 
だから自分の複雑さは自身で処理するしかないのだ。
 
そしてなるべく単純に生きることの方が幸せなのだ。
 
 
 
他者の内なる複雑な思考にふれる。
 
小説の醍醐味かな。
 
 
 
 
<おぼろ>と書いて 朧。


posted by しのぶん at 16:53| Comment(0) | 読書感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする