2013年11月18日

「黒い福音」



「黒い福音」/松本 清張著
 


 
花村萬月の小説「百萬遍」の惟朔や 「ゲルマニウムの夜」の朧が
 
暮らしていたという修道院・サレジオ会が舞台の物語です。
 
 
昭和34年に実際に起こったスチュワーデス殺人事件をもとにした推理小説。
 
 
この頃の日本はまだまだ国際的な立場が弱かった。
 
   <日本人は今でも外人( 白人 ) に弱い>
 
そしてキリスト教団の閉鎖的権威主義。
 
実際、犯人と思われる外人神父はベルギーに帰国。
 
警視庁は手も足も出ず。
 
逃げられた。
 
未解決事件。
 
 
 
疑問を持った作家・松本氏は綿密な取材を重ねたらしく実録手記のような
 
感じで、感情的表現が少なく、淡々と物語りは進みます。
 
救援物資の横流し、麻薬の密輸。
 
宗教の名のもとに、神の名のもとに・・・修道院は都合の良い隠れ蓑になった。
 
どす黒い空気が充満してる小説です。
 
なぜスチュワーデスは殺されたのか?
 
なぜ殺されたのがスチュワーデスだったのか?
 
 
宗教団体に限らず団体・集団というものは時に素晴らしい力を発揮したりも

するが時に恐ろしい負の塊にもなる。
 
 
 
この殺人事件、54年前のことではありますが、私の住む近場で

起きてるんですよ。
 
 
この逃げたベルメルシュ神父は、あれから54年たった今も何処かで、

黒衣を身に纏い生きているのでしょうか?
 
 
それとも、とっくに・・・?



posted by しのぶん at 11:19| Comment(2) | 読書感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする