「黒い福音」/松本 清張著
花村萬月の小説「百萬遍」の惟朔や 「ゲルマニウムの夜」の朧が
暮らしていたという修道院・サレジオ会が舞台の物語です。
昭和34年に実際に起こったスチュワーデス殺人事件をもとにした推理小説。
この頃の日本はまだまだ国際的な立場が弱かった。
<日本人は今でも外人( 白人 ) に弱い>
そしてキリスト教団の閉鎖的権威主義。
実際、犯人と思われる外人神父はベルギーに帰国。
警視庁は手も足も出ず。
逃げられた。
未解決事件。
疑問を持った作家・松本氏は綿密な取材を重ねたらしく実録手記のような
感じで、感情的表現が少なく、淡々と物語りは進みます。
救援物資の横流し、麻薬の密輸。
宗教の名のもとに、神の名のもとに・・・修道院は都合の良い隠れ蓑になった。
どす黒い空気が充満してる小説です。
なぜスチュワーデスは殺されたのか?
なぜ殺されたのがスチュワーデスだったのか?
宗教団体に限らず団体・集団というものは時に素晴らしい力を発揮したりも
するが時に恐ろしい負の塊にもなる。
この殺人事件、54年前のことではありますが、私の住む近場で
起きてるんですよ。
この逃げたベルメルシュ神父は、あれから54年たった今も何処かで、
黒衣を身に纏い生きているのでしょうか?
それとも、とっくに・・・?