2013年12月24日

「アフリカの瞳」


「アフリカ の 瞳」 /帚木 蓬生著
 
アフリカの瞳 (講談社文庫)
 
 
ここはアフリカの何処なんだろう・・・と思いながら読んでいたが、どうやら
 
アパルトヘイト後の南アフリカ共和国であることが判ってくる。
 
 
カルーガー市、ズビーン地区、聞きなれない地名がでてくる。
 
エイズ患者のために奔走する日本人医師、作田信。
 
この国の10人に1人がエイズ・ウィルスに冒されている。
 
そして、新たなる感染。
 
製薬会社による人体実験。
 
 
 
貧困は罪なのか?
 
こうも虐げられなければならないのは何故だ?
 
命の重さは不平等だ。
 
お金がなければ治療もできない。
 
発症すれば、ただただ死を待つのみ・・・。
 
 
 
貧困とエイズ。 格差。
 
 
政府は全く効き目のない安価な薬を患者に配布。
 
この国は大丈夫ですよとばかりに。
 
 
この物語は、この情況から逃れるべく奮闘する人々の絆が描かれているが
 
それにしても、ひどいひどい、ひどいのだ・・・。
 
この最悪な環境。
 
 
 
欧米の製薬会社は莫大な費用を使って新たな病気の薬を開発する。
 
当然その費用を回収するため薬は高くなる。
 
エイズ患者一人にかかる医療費はひと月15万ドル。
 
治療できる人は限られる。
 
医療費を払えぬ者には誰も手を差し伸べはしない。
 
命の値段・・・。
 
私は我慢がならぬ!
 
 
 
最後にほんの少しだけど、ああ、良かったなあ・・・と思えることがあって良かった。
 
 
怒りだけが残るのは、辛いもの・・・。
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2013年12月19日

「母 性」/「あなたにだけ わかること」


「母 性」/湊 かなえ著


母性
 
 
う〜ん。 なんというか・・・。
 
世の中でなによりも母親が1番好き!
 
という少女が成人し、結婚し、女の子を出産するが。
 
やはり母親が娘よりも1番好き・・・。
 
しかし母親は事故で亡くなり、夫と娘との3人家族。
 
夫の実家に身を寄せるが、ここからは姑、小姑のイジメが始まる。
 
 
う〜ん。 母親を好きなのは良い事だと思うよ。
 
でも崇拝してるのは恐い。
 
 
娘は母親に桃の香りのハンドクリームを塗ってもらうときが嬉しかった。
 
桃の香り・・・。
 
 
次に読んだのが・・・・。
 
 
「あなたにだけ わかること」/井上 荒野著

あなたにだけわかること
 
 
この作品にも桃の香りがでてくる。
 
ここでは母親が浮気相手の家に行くときに付けていく匂いだ。
 
母親って桃の香りのイメージなのかな?
 
私はパーマ液の匂いだな。
 
私の母は美容師だったので。・・・そのままじゃん。
 
 
好きな小説です。
 
男の子・駿は母に手を引かれ踏切を越えて知らないオジサンの家に行く。
 
オジサンと母は二階に上がる。残されたオジサンの娘・夏と駿は一階の
 
居間の炬燵で遊ぶ。
 
それから二人は小学校に入学。 やがて、時は流れ・・・。
 
夏と駿は幼馴染というのものではない。が、一時期一緒に遊んだ顔見知りだ。
 
つかず離れずの関係が続く。
 
 
駿の父親は外科医。 夏の父親はぐうたら。
 
環境も性格も違う二人は友達でもないし、ましてや恋人同士にもならない。
 
それぞれの道を行く。
 
それぞれはやがて結婚して、子供が出来て・・・。
 
互いの親は老い・・・。
 
 
執着心はやっかいだ。
 
だがそれを洗い流してくれるのが、井上作品だ。
 
乾いた作品。
 
さりげなく心に残る、さりげない人々。
 
けれど、深い。
 
 
 
あなたにだけ わかること・・・。


posted by しのぶん at 12:56| Comment(0) | 読書感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月05日

「一丁目ぞめき」


 「一丁目ぞめき」/赤堀 雅秋著
 
 一丁目ぞめき
 

戯曲です。 岸田戯曲賞受賞作品です。
 
東北大震災の翌年、シャンプーハットで上演されたものですが、私は
 
残念ながら拝見してません。
 
観たかったなあ・・・。
 
 
 
普通の人々はちっとも普通じゃなくて、いや、普通じゃないのが

普通の人なのか?
 
どうしようもない生活。 どうもしようがない生活。
 
 
舞台を観たり小説を読んだりしてる時、私は時々他人の生活を

覗き見してるような感覚になる。
 
すみません・・・私が見てるから気をつけてください。
 
あまり本音を出さないでください。
 
みっともないの、私見ちゃってますよ・・・と。
 
しかし、その時点で私は作品に負けているのだ。
 
少し距離をとる事によって安心を得ようとするのだ。
 
どっぷりツカルノガ恐いのだ。
 
作者の思惑に嵌まってしまっているのだ。
 
のだ。のだ。が、多くなってしまったのだ。
 
 
私は愉快と不快の狭間を行ったり来たり。
 
 
赤堀作品は、恐い・・・。
 
好きと言えない好き。
posted by しのぶん at 13:01| Comment(0) | 読書感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする