「アフリカ の 瞳」 /帚木 蓬生著
ここはアフリカの何処なんだろう・・・と思いながら読んでいたが、どうやら
アパルトヘイト後の南アフリカ共和国であることが判ってくる。
カルーガー市、ズビーン地区、聞きなれない地名がでてくる。
エイズ患者のために奔走する日本人医師、作田信。
この国の10人に1人がエイズ・ウィルスに冒されている。
そして、新たなる感染。
製薬会社による人体実験。
貧困は罪なのか?
こうも虐げられなければならないのは何故だ?
命の重さは不平等だ。
お金がなければ治療もできない。
発症すれば、ただただ死を待つのみ・・・。
貧困とエイズ。 格差。
政府は全く効き目のない安価な薬を患者に配布。
この国は大丈夫ですよとばかりに。
この物語は、この情況から逃れるべく奮闘する人々の絆が描かれているが
それにしても、ひどいひどい、ひどいのだ・・・。
この最悪な環境。
欧米の製薬会社は莫大な費用を使って新たな病気の薬を開発する。
当然その費用を回収するため薬は高くなる。
エイズ患者一人にかかる医療費はひと月15万ドル。
治療できる人は限られる。
医療費を払えぬ者には誰も手を差し伸べはしない。
命の値段・・・。
私は我慢がならぬ!
最後にほんの少しだけど、ああ、良かったなあ・・・と思えることがあって良かった。
怒りだけが残るのは、辛いもの・・・。