2014年07月21日

「翳りゆく夏」赤井 三尋


「翳りゆく夏」赤井 三尋


江戸川乱歩賞受賞作。

先日、赤井三尋作品「死してなお君を」読んだ時は私にとって初めて読む作家だとばかり思ってたが、違った。だいぶ前、この「翳りゆく夏」を読んでいたではないか…。しかしいつもの事で内容を忘れてしまったので、またもや新鮮な気持ちで読みました。

「誘拐犯の娘が新聞社の記者に内定」。週刊誌にスクープ記事が載る。事件は20年前。当時、犯人は逃走中事故で死亡。すでに事件は解決済み。だが誘拐された新生児は発見されなかった。未だに行方不明。子供は?

社命を受けた新聞社の社員<梶>は再調査を始める。
  
真実は…。

内容の隅々に説得力があり、解決済みの事件の真相が徐々に明らかになっていく。共犯者はいたのか? 真犯人はいるのか? 事件の意外性。いろんな人が絡んできます。

推理小説は事件のからくりに惑わされながらも紐解かれていく爽快感が魅力的であるが、そこに描かれる人間味、思案、機微が小説の醍醐味なのは、言うまでもない。

ラストは映画のワンシーンのようだ。


受賞歴

第49回(2003年) 江戸川乱歩賞受賞

内容紹介

「誘拐犯の娘が新聞社の記者に内定」。週刊誌のスクープ記事をきっかけに、大手新聞社が、20年前の新生児誘拐事件の再調査を開始する。社命を受けた窓際 社員の梶は、犯人の周辺、被害者、当時の担当刑事や病院関係者への取材を重ね、ついに"封印されていた真実"をつきとめる。第49回江戸川乱歩賞受賞作。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

赤井/三尋
1955年、大阪府生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ニッポン放送に入社。小説は30代半ばから書きはじめ、文學界新人賞や江戸川乱歩賞で予選を通 過した経験もある。’03年、『翳りゆく夏』で第49回江戸川乱歩賞を受賞。’06年フジテレビに転籍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されて いたものです)
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2014年07月17日

「死してなお君を」赤井三尋

「死してなお君を」赤井三尋

久々に私にとって新しい作家に手をのばしてみた。久々に読み応えのある物語だった。好きな小説だ。とは言え読破後のスッキリ感は低い。どちらかと言うと哀しい...。

昭和32年から35年。時代が作る物語。正義感の強い主人公、敷島は造船疑獄の指揮権発動に失望し検事を辞めた。その後の売春汚職を追う読売新聞社記者の立川。地検の権力闘争。検事総長の座。当時の政治家の隠された汚職。フィクションなのだが実名がポンポン出てくる。(かの神近市子衆議院議員も少しだけ出てきます。)

政府公認の赤線が廃止されたのは昭和33年。私の生まれた年だ。昭和30年、吉原の従業女性3822名の半数近くが前借金によって自由を縛られていた。そしてその斡旋は当時の役場が堂々と行っていたのだ。貧困は女性の人権を平気で奪う。我慢がならぬ。貧しい農家に生まれ娼婦として売られた夕子は、ある日敷島と出会う。娼婦と元検察官。そして敷島はある男から依頼を受け、ヤクザを追いつめ拳銃で殺害。敷島を追う刑事、南。敷島の安アパートの隣の優しい住人、田中。チンピラの拓司。娼館の立ち並ぶ片隅でおでんやを切り盛りする元娼婦の菊江。
時代に抗いながら懸命に生きる普通の人々が魅力的に描かれている。

この物語りは権力との戦いだ。権力は恐ろしく愚かだ。そしてその権力が国家を支配している。

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【内容情報】(「BOOK」データベースより)
昭和32年、売春防止法の施行により、まさに赤線の灯が消えようとしている時、東京地検をドロップアウトした元特捜検事・敷島航一は、夕子という娼婦と巡 りあう。そして、政官を巻き込んだ売春汚職、読売新聞記者の「不当逮捕」事件、検察庁内部の派閥抗争という時代の流れに、否応なく巻き込まれていく。夕子 との愛に生きようともがきながら、敷島は奈落の底に落ちていく。

【著者情報】(「BOOK」データベースより)
赤井三尋(アカイミヒロ)
1955年、大阪府生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、ニッポン放送に入社。2003年、『翳りゆく夏』で第49回江戸川乱歩賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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2014年07月16日

「ガソリン生活」井坂幸太郎

「ガソリン生活」井坂幸太郎
 
あぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜面白かった!

望月家、長男<良夫>20歳は善良な大学生。次男<亨>10歳は頭の切れる大人びた子供。長女<まどか>17歳。3人の子供を育てる母親。望月家は4人家族である。そして望月家の車、緑のデミオ<緑デミ>

物語は、愛すべき望月家の人々が事件に巻き込まれていく様をこの車、<緑デミ>の目線で語られる。車が喋るのだ。 だが、もちろん人間には聞こえない。緑デミの友達はお隣の<ザッパ>。ザッパの持ち主はフランク・ザッパの好きな校長先生。『人間が働くのはお金のためでもあるが、認められたい、役立ちたい、褒められたいと言う三大欲求もあるのだ。』 と校長は言っていた、と語る
ザッパ。  ・・・深い。
車たちの会話は面白い。「ワイパー動くよ」はエンジンかかってないのに驚きのあまりワイパーが動いてしまうほど興奮した時に使うコトバ。 ・・・なるほど!車たちの情報力も面白い。ただ止まったり走ったりは人間の意志だから、せっかく車同士おしゃべりしていてもままならぬ時もある。情報が途中のまま発車したりもする訳で、尻切れトンボ、残念なのだ。
この作家が描く人々は、どんなに困難な事でもゆるく受け入れ乗り越えていくようにみえる。普通の人間が予期せぬ非現実的なことに直面した時、普通の人間の必死な姿は、客観的に見ればこういうことなのかな?と、無理に考えてみた節はあるが・・・。理屈抜きで、あったかい小説です。

エピローグは ジ〜ン・・・ときました。井坂様、ありがとう。
『オー!ファーザー』のお父さんたちが、ちょいと通り縋るのだが、また読みたくなった。
 

内容紹介

大学生の望月良夫は愛車のデミオ運転中に、
偶然会った女優の翠を目的地へ送り届けることに。
だが翌日、翠は事故死する。
本当に事故だったのか?
良夫とその弟で大人びた小学5年生の亨は、
翠を追いかけ回していた芸能記者・玉田と知り合い、事件に首を突っ込み始める。
姉、母まで望月一家が巻き込まれて、謎は広がるばかり――。
朝日新聞夕刊の人気連載が待望の単行本化。
物語の語り手はなんと本邦初! ?の「車」。
町を走る様々な車たちの楽しいおしゃべりが全編にさんざめく、
前代未聞のユーモアミステリーにして、
のんきな長男・大人びた弟…と個性的なキャラが揃った家族の暖かいエピソードに溢れた、
チャーミングで愛すべき長編家族小説!
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2014年07月14日

『世界から猫が消えたなら』川村元気

『世界から猫が消えたなら』川村元気
 
なんと恐ろしいタイトルだろう。私にとって<猫>はかけがえのないもの。消えてしまっては困る!そんなことを思いながらページを捲った。

郵便配達員、猫と2人暮らし、30歳の<僕>は突然の余命宣告を受ける。呆然とする<僕>の目の前に現れた自分とは真逆の陽気な悪魔は<僕>そっくりで、寿命1日分と引き換えに世界から1つ何かを消そうと持ちかける。

そして・・・3日目に悪魔が選んだのは<猫>タイトル通り、いつかは選ばれちゃうのは解かっていても・・・私は辛い!
やめてくれえ〜〜〜〜〜!けれど<僕>は・・・。

辛いけど優しさの詰まった、猫好きにはドキドキで堪らない小説です。この本はだいぶ前に図書館に予約してやっと順番が回って来たのだけど、ちょっと前に予約した絵本も順番が来たので一緒に受け取りに行きました。それで、2冊目の絵本を読もうとしたら、なんと、同じ作家ではないか!まったく知らずに予約してました。

『ティニー』川村元気
 電車のガラス窓にこの絵本の広告が貼ってあって、面白そうだなと思い予約したのです。この方は映画プロデューサーなんですね。『悪人』 『電車男』 『告白』 『モテキ』 等等、優秀な方みたいです。

ピエロから黄色い風船を貰ったティニーは<ふうせんいぬ>となって空高く冒険をする。ふうせんをつけたいろんなどうぶつたちと出会い・・・。子供の気持ちを忘れた私には何も響かなかったという事が解かった本でした。だいぶ頭が固くなってきてしまったようだ・・・。


内容紹介

2013年本屋大賞ノミネート作品。
★電子版には、プリント版にはない特別付録SPECIAL PHOTOBOOK付き。

僕は生きるために、
消すことを決めた。

今日もし突然、
チョコレートが消えたなら
電話が消えたなら
映画が消えたなら
時計が消えたなら
猫が消えたら
そして
僕が消えたなら

世界はどう変化し、人は何を得て、何を失うのか
30歳郵便配達員。余命あとわずか。
陽気な悪魔が僕の周りにあるものと引き換えに1日の命を与える。
僕と猫と陽気な悪魔の摩訶不思議な7日間がはじまった―――

消してみることで、価値が生まれる。
失うことで、大切さが分かる。
感動的、人生哲学エンタテインメント。
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2014年07月13日

『64』ロクヨン 横山秀夫

『64』ロクヨン 横山秀夫
 
なんとも読み応えのある作品でした!!

県警本部・警務部が舞台。警察内部の話って面白い。 
好きだ。
刑事あがりの広報官・三上義信は娘が家出したきり音沙汰なし。
生きているのか? 
それとも・・・。

そして時効まで1年の誘拐事件。事件当時の警察の失態と隠蔽。
娘を誘拐、惨殺された父親執念。広報室と記者の探りあい。
長官視察を軸に物語が回る回る。
手に汗握る。 
イライラもする。 困惑する。 
窒息しそう。面白かった〜〜〜〜〜!


内容紹介

昭和64年に起きたD県警史上最悪の誘拐殺害事件を巡り、刑事部と警務部が全面戦争に突入。広報・三上は己の真を問われる。究極の警察小説!

内容(「BOOK」データベースより)

警察職員二十六万人、それぞれに持ち場があります。刑事など一握り。大半は光の当たらない縁の下の仕事です。神の手は持っていない。それでも誇りは持って いる。一人ひとりが日々矜持をもって職務を果たさねば、こんなにも巨大な組織が回っていくはずがない。D県警は最大の危機に瀕する。警察小説の真髄が、人 生の本質が、ここにある。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

横山/秀夫
1957年東京生まれ。国際商科大学(現・東京国際大学)卒業後、上毛新聞社に入社。12年間の記者生活を経てフリーライターとなる。91年『ルパンの消 息』が第九回サントリーミステリー大賞佳作に選ばれる。98年『陰の季節』で第五回松本清張賞を受賞。2000年『動機』で第五十三回日本推理作家協会 賞・短編部門を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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