「ユリゴコロ」/沼田まほかる 著
「九月が永遠に続けば」を数年前に読んだが、沼田さんの作品はそれ以来
読んでいなかった。この作品は高い評価を受け第5回ホラーサスペンス大賞を
受賞しているのだが、私には引っかかるものがこれと言ってなかったように思う。
さて今回の「ユリゴコロ」
ユリゴコロとはなんぞや?・・・・とらえどころのないコトバが漠然としたまま
心に沁みてくる。
これは哀しいスイッチだ・・・。
非現実的な母親の過去、出生の秘密、消えた婚約者・・・。
ありえない話? 罪の重さをどう考える? ホラー?
いや、そんなことはどうでもよい。
家族の物語。愛の物語。泣きました。
自分が愛を語るのは苦手だし少し恥ずかしい。
でも本を読んでいつも思うのは、そこに流れてる『愛』なんですよ。
『愛』が描かれてないと巧妙なトリックもただの数式みたいになってしまう。
この物語はかなりハードな愛の物語です。なのに暖かみがある。
最後に救いがあって良かった・・けど・・・・でも・・・哀しい。
(弟の存在も救われました。)
フィクションの世界は限りないな。