「三千枚の金貨」/宮本 輝 著
斉木光生は5年前、入院中に末期癌の患者に話しかけられた。
『 和歌山県の何処か。桜の樹の下に三千枚の金貨を埋めた。
みつけたら、あんたにあげるよ。』 ・・・と。
そのときは真に受けなかったのだが・・・。
大人たちの宝探しを主軸に物語は進む。
斉木を中心に広がる様々な人間関係や家族関係。
ささいな出来事も好ましく、微笑ましく、宮本輝ワールドは暖かい。
が、それとは別に気になってしまったのが、
シルクロードの一角にある巨大な溝 『 乾河道 』の話。
遥か昔の大河が干上がったものらしい。
そして、カラコルム山系の中にある小さな村、フンザの星空の話。
なんて世界は広く、自然は偉大で、
人間はちっぽけで、健気で、愛しいのだろう。
夜空満点の星、星、星を見たい・・・。
目に見えるものは星だけ。
・・・と、思いを馳せてしまった。
久々に読んだ宮本輝作品、面白かったです。