「なで肩の狐」 「狼の領分」 /花村 萬月著
これは、エンターテーメントな小説。
「百萬遍」の惟朔に翻弄された私としては、ブレイクタイムにちょうど良し。
たいへん読みやすく面白い。
「 なで肩の狐 」 を読んだらその続編もあるということで、それが
「 狼の領分 」 です。
別に・・・花村萬月に嵌まっているわけではない。
ただほかの作品も読んでみたいと思うわけで・・・嵌まってるわけでは・・・ない。
物語は元・凄腕ヤクザの<木常>とその相棒、気弱な元・相撲取りの
<蒼ノ海>の危ない話。
ヤクザから足をあらった筈の木常ではあるが、厄介な事件に巻き込まれて
いく。
しかし・・・そんな風に残酷に人を殺さなくても・・・。
え、そこで殺っちゃうのかい?
あっ、そういう話? と、まごつく 私。
で、 やっぱりここで殺るよなあ と受け入れ態勢になっていく自分。
蒼ノ海が救いだなあ。
昔、読んだマタギが描かれている物語に、凄く感銘を受けた事があって、
「 狼の領分 」 もその辺の話が少し盛り込まれていて・・・ゾクゾクしました。
マタギは凄いのだ。
過酷で神秘的で、人としての驕りを捨てて自然の一部として生きる。
死と隣り合わせで、大自然と共に生きる。 動物として生きる。
日々の戦い。
花村小説の舞台は、いつも負の世界の中にある。
そして戦いがある。 だが、情熱的なものではない。 冷めているのだ。
だが、とことん戦う。 それは刹那的に。 究極的に。
ついていけない・・・。 息切れ状態・・・。
私は、なまっちょろい!・・・だが、時代や環境のせいにするのだけはやめよう。
ん? 急にどうしたんだ、私・・・?
続・続編も読みたいのだが・・・。