「 百万遍 流転旋転 」 上・下巻/花村 萬月著
時代は昭和48年。惟朔18歳。
百萬遍のこれは5巻6巻め。
分厚い全6冊に惟朔15歳からの3年間が描かれているわけだ。
たった3年だよ。
当初、私は惟朔が良くも悪くも成長していく姿を想像し、時は流れ・・・
惟朔が大人になって・・・例えば30歳くらい?になっていたりとか? と
思っていたわけだが 、その期待は虚しく、読んでも読んでも時間は流れず
惟朔は15歳から18歳まで概ねずうっとSEXばかりしていた・・・。
それでも私は読み続け、読み終えた今・・・この続きがまだ読みたい。
惟朔は覚せい剤にも手を出す。
今の時代ではとんでもない話なのだが、昭和48年、それよりちょっと昔を
振り返れば高度成長期、労働者はこれを使い働きづめた時代もあった
訳で・・・。
だが、身体に悪いものは悪いのだ!
惟朔は、かげんを知っている。 だから、壊れたりはしない。
まったく、だからといって、こっちはヒヤヒヤだ。
惟朔にはボロボロになってほしくないのだ。
まだ18歳だぞ。
いい女とばかり付き合って、やっと落ち着いてくれるかと思えば別れて。
いい女といったって、みんな二十歳にもなっていない少女じゃないか。
これがまあみんな惟朔に惚れて、つくすのなんのって。
幸せなのか不幸せなのか・・・・・・解からん。 が、羨ましくもある。
早熟な未成年たち。 ひと足早く大人になった小娘たち。
一生懸命で危なっかしくて・・・。
・・・なんだかオバサンの小言みたいになって来た・・・。
物語に描かれている若者も大人たちも、その生き様は生半可ではない。
どうしようもなく、くたばりそうな男にさえも生命力を感じるのだ。
因みに昭和48年は。
「あしたのジョー」が真っ白に燃えつきた。 当時、読み終えた私は・・・
私はしばらく何も出来なかった。
ジョーが真っ白な灰になった最後の1ページは不滅です。
中学生の私の愛読書は少年マガジンと少年ジャンプでした。
瀬戸内晴美さんが得度された。 <寂聴>という法名を授かった。
中央線に初めてシルバーシートができた。
昭和49年。そして惟朔は東京へ。
続きはありますよね。 花村さん。 お願いしますね。