2014年01月29日

「冥土 めぐり」

「冥土 めぐり」/鹿島田 真希著

もやもやする。
奈津子の境遇に、もやもやする。
それを受け入れている奈津子に、もやもやする。
もやもやはイライラに・・・イライラはやがてカッチ〜ンと切れそうに・・・。

私は嫌だ。 こんな母や弟は! 屑だ!
そばに居たらハッ倒したくなる屑だ!

だが、あまりにも可笑しすぎる屑なのだ。
そうか・・・こういう屑もいるのだなあ。 
と、たいした人間でもない私は思うのだ。

そして奈津子の夫、太一。
太一は結婚後、脳神経の発作により四肢が不自由になった。
障害者として生きている太一に対して奈津子は、介護をしながらも冷めている。

奈津子の目には、もはやまわりの人間は朧だ。
奈津子は正当に病んでいる。

芥川賞作品は、もやもや、イライラ、少しヘンテコな作品が多いと思うのは私だけだろうか?

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受賞歴 第147回芥川賞受賞

あの過去を確かめるため、私は夫と旅に出た――裕福だった過去に執着する母と弟。彼らから逃れたはずの奈津子だが、突然、夫が不治の病になる。だがそれは完き幸運だった……著者最高傑作!


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2013年12月24日

「アフリカの瞳」


「アフリカ の 瞳」 /帚木 蓬生著
 
アフリカの瞳 (講談社文庫)
 
 
ここはアフリカの何処なんだろう・・・と思いながら読んでいたが、どうやら
 
アパルトヘイト後の南アフリカ共和国であることが判ってくる。
 
 
カルーガー市、ズビーン地区、聞きなれない地名がでてくる。
 
エイズ患者のために奔走する日本人医師、作田信。
 
この国の10人に1人がエイズ・ウィルスに冒されている。
 
そして、新たなる感染。
 
製薬会社による人体実験。
 
 
 
貧困は罪なのか?
 
こうも虐げられなければならないのは何故だ?
 
命の重さは不平等だ。
 
お金がなければ治療もできない。
 
発症すれば、ただただ死を待つのみ・・・。
 
 
 
貧困とエイズ。 格差。
 
 
政府は全く効き目のない安価な薬を患者に配布。
 
この国は大丈夫ですよとばかりに。
 
 
この物語は、この情況から逃れるべく奮闘する人々の絆が描かれているが
 
それにしても、ひどいひどい、ひどいのだ・・・。
 
この最悪な環境。
 
 
 
欧米の製薬会社は莫大な費用を使って新たな病気の薬を開発する。
 
当然その費用を回収するため薬は高くなる。
 
エイズ患者一人にかかる医療費はひと月15万ドル。
 
治療できる人は限られる。
 
医療費を払えぬ者には誰も手を差し伸べはしない。
 
命の値段・・・。
 
私は我慢がならぬ!
 
 
 
最後にほんの少しだけど、ああ、良かったなあ・・・と思えることがあって良かった。
 
 
怒りだけが残るのは、辛いもの・・・。
posted by しのぶん at 12:54| Comment(0) | 読書感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月19日

「母 性」/「あなたにだけ わかること」


「母 性」/湊 かなえ著


母性
 
 
う〜ん。 なんというか・・・。
 
世の中でなによりも母親が1番好き!
 
という少女が成人し、結婚し、女の子を出産するが。
 
やはり母親が娘よりも1番好き・・・。
 
しかし母親は事故で亡くなり、夫と娘との3人家族。
 
夫の実家に身を寄せるが、ここからは姑、小姑のイジメが始まる。
 
 
う〜ん。 母親を好きなのは良い事だと思うよ。
 
でも崇拝してるのは恐い。
 
 
娘は母親に桃の香りのハンドクリームを塗ってもらうときが嬉しかった。
 
桃の香り・・・。
 
 
次に読んだのが・・・・。
 
 
「あなたにだけ わかること」/井上 荒野著

あなたにだけわかること
 
 
この作品にも桃の香りがでてくる。
 
ここでは母親が浮気相手の家に行くときに付けていく匂いだ。
 
母親って桃の香りのイメージなのかな?
 
私はパーマ液の匂いだな。
 
私の母は美容師だったので。・・・そのままじゃん。
 
 
好きな小説です。
 
男の子・駿は母に手を引かれ踏切を越えて知らないオジサンの家に行く。
 
オジサンと母は二階に上がる。残されたオジサンの娘・夏と駿は一階の
 
居間の炬燵で遊ぶ。
 
それから二人は小学校に入学。 やがて、時は流れ・・・。
 
夏と駿は幼馴染というのものではない。が、一時期一緒に遊んだ顔見知りだ。
 
つかず離れずの関係が続く。
 
 
駿の父親は外科医。 夏の父親はぐうたら。
 
環境も性格も違う二人は友達でもないし、ましてや恋人同士にもならない。
 
それぞれの道を行く。
 
それぞれはやがて結婚して、子供が出来て・・・。
 
互いの親は老い・・・。
 
 
執着心はやっかいだ。
 
だがそれを洗い流してくれるのが、井上作品だ。
 
乾いた作品。
 
さりげなく心に残る、さりげない人々。
 
けれど、深い。
 
 
 
あなたにだけ わかること・・・。


posted by しのぶん at 12:56| Comment(0) | 読書感想 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする